研究概要 |
筋肉の細いフィラメントは、アクチン、トロポミオシン、トロポニンからなる。筋収縮制御メカニズムの解明は細いフィラメントの詳細構造を知る必要がある。構成成分の結晶構造は報告されているが、それら構成成分がどのように集合し、活性化においてどのように構造変化するのかについては不明である。本プロジェクトにおいては各構成成分の特異位置に導入したラベル間の蛍光エネルギー移動効率を求め、そのデータを基に骨格筋の細いフィラメントのアトミックモデルをつくり、筋収縮制御のメカニズムを明らかにしていく。 (1)トロポミオシンのアミノ酸配列で41-69,83-111,146-174,216-244,252-279の領域にそれぞれ5つのシングルシステインをもつトロポミオシン変異体を使い、アクチンのラベルとの間のFRET測定を行い、実験値と最もよく合致する配置を求め、トロポミオシンのこれら領域とアクチンとの複合体のアトミックモデルを作製した。 (2)トロポニンコアドメインの結晶構造に含まれる残基の位置にシングルシステインをもつ17ヶの変異体TnC,Tn1,TnTを調製した。これらシングルシステインをもつトロポニン複合体を使い、アクチンのラベルとの間のFRET測定を行い、実験値と最も良く合うトロポニンコアドメインのアクチンフィラメント上の最適配置を得ることにより、トロポニンとアクチンとの複合体のアトミックモデルを作製した。 (3)(1)と(2)のモデルを統合してアクチン-トロポミオシン-トロポニンコアドメインからなるアトミックモデルを作った。 カルシウムの結合解離により、トロポニンートロポミオシン複合体がアクチンフィラメント上でどのような構造変化をするのかについてのアトミックレベルでの3次元像を得た。
|