研究課題
本研究は、出芽酵母において、ヌクレオソームの配置を規定するシス因子(DNA構造因子)とトランス因子(クロマチン関連因子、ヒストンバリアント)を解析することによって、遺伝子の転写制御におけるヌクレオソームのダイナミズムとその分子機構を加卿oで明らかにすることを目的としている。1.シス因子(DNA構造因子)によるヌクレオソーム構造の多様性とその機能酵母ミニ染色体を用いて、神経筋疾患に関与する(CTG)_n、と(ATTCT)_nはヌクレオソームの形成を促進することをin vivoで見出した。また、(CTG)_nをPHO5プロモーター領域に挿入すると、転写活性化条件であるにもかかわらず、PHO5の発現が著しく抑制されることを示した。これらの配列のヌクレオソームの形成能を明らかにするために、(CTG)_30または(ATTCT)_22を含む146bpのヌクレオソームをin vivoで再構成した。micrococcal nucleaseによる消化実験の結果、DNA配列によってヌクレオソームの微細構造に多様性があるという、新しい概念が示唆された。さらに、(CTG)_30のヌクレオソームの結晶化に成功し、現在、X線結晶構造解析を進めている。2.in vivoにおけるヌクレオソームの形成・配置決定におけるトランス因子の機能解析減数分裂初期遺伝子群の転写制御におけるIsw2クロマチンリモデリング因子、Rpd3ヒストン脱アセチル化酵素が関与する機構について、それらの変異株を作製して解析した。一方では、ヒトのヒストンH3バリアントH3.1、H3.2、H3.3を出芽酵母で発現する菌株の遺伝学的解析を行った。現在、ヒトと出芽酵母のH3の違いを明確にする目的で、出芽酵母のヒストンH4の遺伝子座をヒトH4遺伝子に置換して、出芽酵母細胞内でヒトの(H3-H4)4に置換された菌株の作製を進めている。
すべて 2010
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FEBS Journal
巻: 277 ページ: 4539-4548