分裂酵母においてもTel2は、Tti1(Tel two interact protein 1)とヘテロダイマーを形成し、PIKKsと相互作用することも報告されているが、Tel2のPIKKsへの相互作用の意義は未だ明らかとされていない。我々は、先行研究においてDNA複製阻害剤であるHydroxyurea(HU)に感受性を示すtel2-F187-5FLAG株、高温条件下(36.5℃)やRapamycinに感受性を示すtel2^<L815P>-5FLAG株を単離している。 今回、単離された分裂酵母の孟tel2条件致死変異株を手掛かりとして、Tel2によるPIKKsの制御機構を明らかにすることを目的とした。 免疫沈降法により、tel2条件致死変異株においても野生株と同様にTel2とTti1、Tel2とRad3の結合を確認した。また、tel2条件致死変異株におけるRad3^<ATR>の安定性を評価した結果、野生株と明確な差は見られず変異株でもRad3^<ATR>は不安定化していないことを確認した。また、Tel1^<ATM>の安定性に関しても、両変異株共に不安定化していないことを確認した。 よって、tel2変異は、Tti1やRad3^<ATM>と結合し、さらにRad3^<ATM>の安定性にも影響を示さないことが確認された。このことから、tel2変異株の条件致死性の原因はTel2とTti1およびTel2とRad3^<ATM>の相互作用の消失や、Rad3^<ATM>やTel1^<ATR>の不安定化によるものではないと考えられる。 現在、tel2変異によるPIKKsの複合体形成への影響を考え、ゲル濾過クロマトグラフィーによるRad3^<ATM>複合体形成への影響を解析中である。
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