研究課題
本研究は、染色体を安定に維持する機構(染色体安定性システム)に関与する分子を同定し、このシステムを構成する分子ネットワークを明らかにすることを目的とする。これまで、細胞周期関連分子MAD2L2と結合する新規分子C13orf8を同定し、この分子が染色体分配に重要な役割を果たしていることを明らかにした。C13orf8はZnフィンガー領域および我々がWKモチーフ、SPEモチーフ、FPEモチーフと名付けた繰り返し配列を有する。このうちFPEモチーフを含む領域(FPE領域)がキネトコア-微小管結合の維持に関与していることがわかった。またこの機能にはCDK1によるリン酸化が必要であった。そこで我々はC13orf8をCAMP(Chromosome alignment-maintaining phosphoprotein)と命名し、以上の結果を報告した(EMBO J,2011)。平成23年度にはこれまでの結果をふまえ、CAMPが染色体分配に果たす役割についてさらに解析を行った。まずCAMPに多数存在するリン酸化部位のうち、染色体分配に関する機能に必須な部位を同定した。その結果、FPE領域にある3ヵ所のリン酸化が染色体分配に必須であり、またこの3ヵ所のいずれもが重要であることがわかった。このうち1ヵ所に対するリン酸化抗体を作成したところ、細部分裂期に特異的なリン酸化が確認された。さらに染色体不安定性と関連して、がん症例におけるCAMPの変異を探索したところ、データベース上で卵巣がんにおいてFPE領域のミスセンス変異が認められた。このような変異を含むCAMPをHeLa細胞に発現させたところ、染色体分配の異常が認められたことから、CAMPの変異ががんにおける染色体不安定性と関連している可能性が示唆された。CAMPと染色体不安定性の関係について、現在さらに検討を続けている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 備考 (2件)
Dev Cell
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http://www.idac.tohoku.ac.jp/ja/activities/research/molecular_oncology/index.html
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