研究課題/領域番号 |
21570204
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
常岡 誠 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (50197745)
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研究分担者 |
馬田 敏幸 産業医科大学, 産業医学研究支援施設, 准教授 (30213482)
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キーワード | リボソームRNA / コハク酸 / ピストン脱メチル化酵素 / KDM2A / 転写 / JmjC / リボソーム / MINA |
研究概要 |
JmjCドメインタンパク質は水酸化酵素として働くときに、同時にα-ketoglutarate (α-KG)をSuccinate(コハク酸)に変換する。従ってその水酸化活性にα-KGが必要であり、またプロダクトであるコハク酸が高濃度で存在すると活性が抑制されてしまうと考えられる。本年は様々な条件下で細胞透過型のコハク酸を細胞培養液に加え、細胞内のコハク酸濃度を上昇し、リボソーム形成過程への影響を観察した。その結果、細胞透過型コハク酸の処理が飢餓によるrRNA転写低下を抑えることが明らかとなった。しかしrRNA転写に対するMINA (Mina53)の明確な影響は観察できなかった。そこで核小体に存在する他のJmjcたんぱく質を探したところ、ピストン脱メチル化活性を持つ酵素KDM2Aが核小体タンパク質であることがわかった。ヒストンメチル化修飾は様々な場面で転写に影響することが示されている。KDM2AはピストンH3の36番目のmono-又はdi-methyl化されたLys(H3K36me1/2)を水酸化反応を介して脱メチル化することがわかっていたが、生理機能は不明であった。そこでKDM2AがrRNA転写を調節しているかを検討した。その結果、KDM2Aは飢餓に応答してrRNA転写を抑制することが明らかとなった。さらに細胞透過型コハク酸による飢餓時のrRNA転写抑制活性はKDM2Aをノックダウンすることにより消失した。従って、コハク酸はKDM2Aのピストン脱メチル化活性とrRNA転写抑制能を抑え、飢餓によるrRNA転写低下を抑えることがわかった。以上よりリボソーム形成過程の調節にJmjC蛋白質によるrRNA転写調節が関係していることが明らかとなった。
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