研究概要 |
ヒトがん細胞を用いMina53ノックダウンによるMina53の機能解析、我々が作製したMina53ノックアウトマウスを利用した胎児繊維芽細胞及び肝臓細胞でのリボソーム合成へのMina53の関与を検討した。その結果肝臓ではリボソーム合成への影響がやや観察されたが、軽微であった。そこでMina53ノックアウトにより明確な影響が出る生命現象をまず明らかにし、関連する細胞でのMina53機能を検討することが必要と考えた。12回以上バッククロスして純系度を上げたMina53ノックアウトマウスを用いて、詳細に解析した結果、1.ヘテロ同士のかけあわせで、ほぼメンデルの法則に従ってMina53ヌルマウスが出生し、2.Mina53ノックアウトマウスは体重に有意な差が認められず大人になり、3.オス・メス共に子供を作ることが出来た。Mina53は精巣に多く発現していることを確認していたので、オスが不稔にならなかったのは意外であった。以前の我々の観察よりMina53が発現していた臓器として脾臓と胸腺を確認していたので、次に脾臓でのMina53発現細胞種を免疫組織化学的に同定した。その結果、マクロファージ系の細胞とリンパ球系の細胞でMina53の高い発現が観察された。そこで患者も多数存在する気管のアレルギー応答である喘息への関与を検討した。マウス気管をハウスダスト処理しアレルギー応答を観察した所、Mina53ノックアウトにより、1.気道過敏性がなくなっていた、2.気道での炎症性細胞の浸潤が減少した、3.気道洗浄液でのTh2サイトカインの発現が減少していたが、IFNγは影響を受けなかった。という結果を得た。これらの結果より、Mina53ノックアウトは気管中でのIL4の発現を減少し,アレルギー応答を減弱させることが示唆された。以上の結果をまとめ,現在米国科学雑誌に投稿中である。
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