免疫細胞の動態に重要なインテグリンLFA-1を介する接着・遊走は、Rap1-RAPL-Mst1シグナルにより細胞内からの極性輸送によって制御されていることが示唆されている。動態制御の分子基盤を明らかにするため、インテグリンの小胞輸送に関与する68種類のRab family GTPases中から、インテグリンの接着制御に関与する分子を検索し、Rab13を同定した。Rab13-GFP融合タンパク質を作製し、ケモカイン刺激後、細胞内での局在変化を3次元高速走査したところ、Rab13はLFA-1とともに突起状に細胞表面に現れ、それが先端部へ移行後、前方に進展してleading edgeが形成されることがわかった。また、Rab13の生体内での役割を解明するため、Rab13 conditional knockout miceを作製するためのtarget vectorを完成させ、ES細胞へ導入し組み換えが起きたクローンを得た。 リン酸化プロテオミックスによって4回再現性良くRap1V12発現細胞でリン酸化レベルが上昇し、Mst1ノックダウンによって低下するMst1リン酸化基質候補を同定している。その中のGSK 3αについてcDNAを単離した。リン酸化部位と推定される278番目のセリンがMst1によってリン酸化されるかどうか検討するため、このセリンをアラニンに変換した変異体を作製し、GST融合タンパク質を作製した。野生型GSK 3αおよびS297A変異体のGST融合タンパク質を基質として、in vitroリン酸化反応を行ったところ、Mst1によって279番目のセリンがリン酸化されることが確かめられた。
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