免疫細胞の動態に重要なインテグリンLFA-1を介する接着・遊走は、Rap1-RAPL-Mst1シグナルにより、細胞内からの極性輸送によって制御されていることが示唆されている。約60種類のRab family GTPasesのうち、Rab13がこの極性輸送に関与する可能性が示唆された。本年度は、1.Rab13の近縁であるRab8についても、その優性抑制型変異体を過剰発現させることによりLFA-1-ICAM-1依存性の接着・遊走への影響を検討したところ、Rab8の活性化は接着上昇には関与しないことがわかった。2.LFA-1 clusterが細胞内からの小胞輸送によって誘導されることを、LFA-1のα鎖細胞外領域にmRFPを、細胞内領域にPH依存性の蛍光色素フローリンを融合させ、LFA-1 cluster形成時における両者の蛍光の変化を観察することで検討したところ、mRFPでは検出されるがフローリンでは認められないLFA-1小胞が観察された。3.Rab13とLFA-1が先端膜で共局在することが分かっているので、Rab13がどのようなメカニズムでLFA-1を前方へ輸送しているのかを解明する手がかりを得るため、EB3およびLifeact-mcherryを、Rab13-GFP導入リンパ球系細胞へ発現させ、先端膜形成時にRab13と共局在するかどうか検討したところ、Rab13はF-actinに沿って前方へ移動することが明らかになった。4.Rab13-GTPに結合することがわかっているMICAL分子のRab13結合領域のGST融合タンパク質を作成し、pull-down法によりケモカイン刺激10分後をピークにRab13は活性化されることが判明した。5.GTP結合型Rab13は特異的にMst1に会合することがわかった。しかしながら、Rab13とMst1の間には、直接的に相互を活性化する働きはないことが判明した。
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