分裂酵母のセントロメア-SPB間の相互作用を担う分子機構のNdc80依存的機構の一端を担う可能性が考えられるSPB構成蛋白質Sad1とキネトコア蛋白質Spc24との相互作用に注目して解析を行った。まず酵母Two-hybrid法で同定されたSpc24結合領域を欠失したsad1変異株を作成した。このsad1^<△Spc24>変異株中での増殖サイクル中のSPBとセントロメアの位置を観察したが、野生型との違いは認められなかった。しかしながら、減数分裂サイクルから増殖への回帰時に見られるセントロメア-SPB間相互作用の再確立に欠損があることが分かった。この時、キネトコア蛋白質群のセントロメアへの再蓄積が遅延することが分かった。このことからSad1蛋白質とのセントロメアとの相互作用はキネトコア構造の構築に関与している可能性が考えられる。 セントロメア-SPB間相互作用の再確立には核膜蛋白質の関与が予想される。そこで、減数分裂開始時に発現誘導される膜蛋白質遺伝子を網羅的に破壊し、セントロメア-SPB間の相互作用の再確立に欠損のある株のスクリーニングを行ったが、顕著な欠損を示す破壊株は得られなかった。 また、セントロメア-SPB間の相互作用を介した核膜構造の維持を担う因子としてKingらにより報告されたIma1蛋白質について、染色体との相互作用の分子機構を明らかにするために、研究代表者が研究に用いている株と遺伝的背景を同じくするima1破壊株を構築した。得られたima1破壊株は、報告された実験結果とは異なり、セントロメア-SPB間の相互作用に著しい欠損は見られないことが分かった。しかし、Ima1蛋白質はSPB/核膜に局在する保存された核内膜蛋白質であり、核膜・SPB機能に重要な因子であると考えられることから、ima1破壊株の表現形を詳細に検討する必要性が認められた。
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