進化的に保存された核内膜蛋白質であるIma1蛋白質はセントロメアーSPB相互作用に関与する因子として報告されている。しかし、平成21年度及び22年度の研究結果から、Ima1蛋白質はセントロメア-SPB間相互作用が消失・再確立される分裂初期にSPBに集積するが、Ima1蛋白質が欠失しても増殖期のセントロメアの核内配置は正常であることが分かっている。また、Ima1蛋白質は別の保存された核内膜蛋白質であるLem2と協調して核膜構造の維持と細胞周期進行に働くことが明らかとなった。そこで、本年度はIma1蛋白質が減数分裂期におけるセントロメア-SPB間相互作用に関与するかを検討するために、ima1変異株における減数分裂過程での染色体分配とセントロメアの核内配置を生細胞中で観察した。その結果、Ima1蛋白質は細胞分裂期と同様に、減数第一及び第二分裂初期にSPBに集積するが、染色体分配とセントロメアの核内配置に顕著な異常は見られなかった。しかし、ima1変異株ではスピンドル形成に伴ってSPBのハーフブリッジの分断が野生型よりも高い頻度で観察された。このことから、Ima1蛋白質は減数分裂期におけるSPB構造の維持に重要な役割を果たす可能性が示唆された。 また、平成22年度において、Ima1蛋白質と結合する因子として核膜孔蛋白質Nup40を同定していた。そこで、Ima1蛋白質と核膜孔複合体との機能的な関連を検討するために、ima1変異と核膜孔複合体構成因子の遺伝子変異との二重変異株を作成した。その結果、ima1変異はΔnup40のみならずΔnup132やΔnup61とも遺伝学的相互作用を示すことが明らかになった。これらの結果から、Ima1蛋白質は核膜孔やSPBという核膜上の構造体と機能的に関連を持つことが示唆された。
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