研究課題
脊椎動物における頭部感覚器官の原器であるプラコードの形成や、個々のプラコードの運命決定がどのような分子制御によるものかを明らかにするために研究をおこなっている。本年度はプレプラコーダルリジョン(PPR)から様々なプラコードが形成される過程での遺伝子発現変化について、発生ステージの異なるウズラ胚を用いて詳細に検討し、発現領域マップを作成した。その結果、三叉神経節プラコードの形成時には最初対応する領域で発現していたPitx1/2やPax6の発現が減少し、その代わりにPax3が発現、その後プラコードニューロンがBrn3aを発現するようになることがわかった。培養神経板をBMP4+FGF2処理することによってプラコード様の組織を作ることができるが、この条件下ではPax6の発現は強く誘導できるものの、Pax3の発現は比較的弱く、追加でFGF8を添加することによってPax3の発現を増強できることがわかった。しかし、いずれの条件下においてもBrn3aの発現を誘導することはできなかった。BMP4+FGF2処理神経板はニワトリ胚に移植することによって三叉神経節ニューロンに分化することから、培養下で完全な三叉神経節プラコードを誘導するのにはさらなる条件検討が必要であると考えられた。また、FGF8はPPRを講する因子の候補であったが、FGF2とは異なり神経板からPPRへの分化転換を誘導する活性は認められなかった。
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Journal of Anatomy 216
ページ: 80-91
Development, Growth & Differentiation 51
ページ: 707-714