研究概要 |
ゲノム情報がありながら、これまで実験発生学的なアプローチが難しかったTakifugu属フグに対して,安価に手に入るクサフグを用いて、申請者らがこれまで他の動物種で解析を行ってきたOtx遺伝子を対象としてトランスジェニックや遺伝子破壊等の実験手法を応用して,モデル動物化を試みている。平成21年度の実績を以下に示す。 1,フグ胚Otx遺伝子の機能解析 モルフォリノオリゴの顕微注入によりフグ胚の初期原腸胚において胚盾に発現するOtx1a,Otx2b遺伝子のノックダウンを行った。それぞれの遺伝子単独のノックダウンでは明瞭な表現形は示されない事から、双方の遺伝子が相補的に機能している事が予想されたため、Otx1a/Otx2b双方のモルフォリノオリゴを同時に顕微注入するダブルノックダウンを試みた所,脊索前板の機能不全に伴うと思われる頭部構造の異常が認められ、これらの遺伝子が頭部形成に重要な役割を果たす事が示されたと供に、フグ胚で遺伝子機能の抑制が可能である事が示された.現在、ダブルノックダウン胚内の遺伝子発現パターンの変化をWhole mount in situ hybridization法により解析している。 2,フグOtx2b遺伝子のエンハンサー解析 Otx2b遺伝子の胚盾での発現を司るエンハンサーの責任配列を約110bpまでに狭めている。この配列には既知の転写調節因子の結合サイトは認められず、現在、この配列に結合する転写因子の検索を行っている。 3,クサフグの水槽内での性成熟誘導 平成21年度の産卵期に採集したクサフグを実験室の水槽内で飼育維持している。今後、水温・日長の調節により産卵期以外に卵成熟を誘導する条件を検討する予定である。
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