研究概要 |
本研究はメダカとハイナンメダカ、ルソンメダカの種間雑種を用いて、メダカの性決定遺伝子DMYとルソンメダカの性決定遺伝子GSDFこ始まる性決定過程に関与する遺伝子の探索を行うものである。本年度は、F1XY個体がすべて♂になるHO4C系統とハイナンメダカのF1,およびF1XY個体がすべて♂に分化するHdrR系統とハイナンメダカF1の発生過程について詳細な検討を行った。その結果、雑種性転換は性分化初期過程から雌方向に分化すること、また、DMYおよびその下流で発現するGSDFの発現量が雌になる種間雑種において低下していることが示された。したがって、種間雑種性転換は、DMYの発現誘導に関与する遺伝子とハイナンメダカDMYとの不適合によることが明らかになった。現在、この原因遺伝子について、HdrRとHO4Cの間で連鎖解析を行っており、連鎖群17の特定領域に関連遺伝子が存在することが示され、さらに約2000匹のF1個体を作出して、詳細な染色体領域の特定を目指した研究を継続している。 また、性決定遺伝子を異にするハイナンメダカとルソンメダカの種間雑種においては、いずれかの性決定遺伝子を持つ個体は雄に分化すること、またどちらも持たない個体では雌20%雄80%の割合で両者が出現することが明らかになっていたが、本年度はさらに、雑種F1♂をルソンメメダカ雌に戻し交配して得られるBC1世代について、その性とDMYの有無を検討した。その結果、DMYを持つ個体はすべて♂に分化することが判明した。そこで、その♂をさらに戻し交配してBC2世代を作出して、その性を調べることを計画している。
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