研究概要 |
不正形類に属する間接発生種ハスノハカシパンからホンウニ小割球特異化遺伝子micro1,hesC,delta,alx,etsを単離し、構造を決定した。当初micro1の単離は困難であると予想されていたが、いずれのウニからもPCRクローニングに成功し、その配列の多様性からホンウニmicro1と同様に多型をふくむマルチコピー遺伝子であることが示唆された。ハスノハカシパンの上記5種の発現をWMISH法によって解析し、バフンウニ胚での発現と比較することによって以下の結果をえた。(1)2億年前に分岐した間接発生種の間で小割球特異化遺伝子の発現パターンはほぼ保存されていた。(2)micro1発現はいずれの種も小割球子孫で活性化されるが、60-120細胞期にバフンウニでは小小割球子孫で発現が続くのに対してハスノハカシパンでは大小割球子孫に限定された。(3)逆にhesCの発現は60-120細胞期から小割球子孫で抑制されるが、ハスノハカシパンでは小小割球子孫の一部にhesC発現細胞が観察された。(4)一方deltaは60-120細胞期から小割球子孫で活性化されるが、ハスノハカシパンでは大小割球子孫の限定されるようにみえた。これらの観察は、いずれの種においてもdeltaがmicro1とHesCの二重抑制によって小割球子孫で活性化されることを示すとともに、バフンウニ小小割球に誘導能があるのに対してハスノハカシパン小小割球にはないことを分子的に示唆した。次に直接発生種ヨツアナカシパンにおける小割球特異化遺伝子の発現パターンをWMISH法によって解析し、間接発生種と異なる点を見いだした。(1)ヨツアナカシパンmicro1は32細胞期から小割球子孫で活性化された。(2)胞胚期にdelta発現が予定PMC領域で抑制された。この抑制と小割球に誘導能がないことの関係を検討する予定である。
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