研究課題/領域番号 |
21570226
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 卓 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90244102)
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研究分担者 |
坂本 尚昭 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00332338)
柴田 達夫 理化学研究所, 発生再生科学総合研究センター, ユニットリーダー (10359888)
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キーワード | 発生・分化 / 遺伝子 / ゲノム / 発現制御 / ゆらぎ |
研究概要 |
前年度までの問題として、2種類の蛍光レポーター遺伝子が複数コピー導入されることによって定量的解析が困難であることが示された。そこで、ウニ胚内で内在性遺伝子の定量的な発現解析を行うために、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を利用したレポーター遺伝子のノックインシステムの開発を行った。一次間充織細胞の分化遺伝子であるEts遺伝子にGFP遺伝子をノックインするために、Ets遺伝子を特異的に切断するZFNを作製し、切断特異性を確認した。相同組換えによってGFP遺伝子をノックインするためのドナー構築(Ets遺伝子と相同な配列をGFP遺伝子の両端にもつ構築)を作製し、Ets ZFNと共にウニ受精卵を顕微注入した。しかしながら、この時点で胚内のGFP蛍光を観察することができなかったため、相同組換え活性を上昇させるため、非相同組換えを抑制する目的でLig4のドミナントネガティブを共導入した。さらに、ドナー構築にZFNの標的配列を付加することで相同組換えでの導入効率の改善を行った。その結果、インジェクションした胚の約20%で、Ets遺伝子の発現する一次間充織細胞においてGFP蛍光を観察することに成功した。 レポーター遺伝子としてGFP遺伝子およびmCherry遺伝子を用いて、2種類のレポーター遺伝子のドナー構築をZFNと共導入したところ、1つの細胞で2つの蛍光が観察されることはなかった。このことから、両対立遺伝子に蛍光遺伝子が挿入される確率は極めて低く、このシステムでは片対立遺伝子に挿入された1コピーにレポーター遺伝子に由来する遺伝子発現を定量化できることがわかった。 上記のシステムを用いて、Ets遺伝子の発生過程における遺伝子発現の1細胞単位での発現を定量したところ、予定1次間充織細胞ではEts発現のばらつきが、一次間充織細胞の分化にともなって大きくなることが明らかになった。
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