脳をはじめとする神経回路網は、神経細胞が他の神経細胞や筋肉細胞へと正確に軸索を伸長し、それらと正確に接合することにより形成される。軸索ガイダンス分子は、伸長する軸索に対し位置情報を提示し、その位置情報は、軸索先端の成長円錐に存在する軸索ガイダンス分子受容体により受容される。Netrin、Slit、Semaphorin等の軸索ガイダンス分子、および、それらの受容体が同定されつつあるが、神経細胞の多種多様な軸索走行パターンは、軸索ガイダンス分子、および、その受容体の多様性だけでは、到底説明できない状況にある。この状況を打開する仮説の1つは、軸索ガイダンス分子、および、その受容体には特異な局在機構が存在し、それが軸索走行の多様性を生み出しているというものである。事実、近年、この仮説を裏付ける報告が出始めている。しかしながら、軸索ガイダンス分子、および、その受容体の局在機構はほとんど明かとなっていない。本研究では、モデル生物である線虫C.elegansを用いて、それらの局在機構の解明を目指す。 今回、我々は、軸索ガイダンス分子UNC-6/Netrinおよびその受容体であるUNC-5の局在制御分子UNC-51の変異を抑制する変異体の解析を行った。一方、軸索ガイダンス分子UNC-6/Netrinの局在に異常を持つ変異体の解析を行った。
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