研究課題
哺乳類の精巣決定遺伝子SRYはSOX3遺伝子か進化したことが知られている。ツチガエルの1つの地域集団は雌ヘテロ(ZZ/ZW型)の性決定機構を有し、SOX3遺伝子がZW性染色体に存在すること、しかも、性決定期にはZW幼生の生殖腺で強く発現することから、SOX3遺伝子の卵巣決定機能が示唆されている。そこで、本年度は、ツチガエルSOX3遺伝子のゲノム構造、とくにZ-SOX3とW-SOX3間で調節領域の比較解析を行った。ゲノムサザン解析の結果、BamHI酵素で切断した場合、SOX3遺伝子を含む12kbpの断片が切り出されることが判明したので、ZW雌のBamHI-12kbpDNA断片をファージベクターλFixに導入してゲノムライブラリーを作成した。Sox3DNAプローブでスクリーニングした結果、W-SOX3を含むクローンを2個、Z-SOX3を一個得た。制限酵素地図からSOX3遺伝子の5'上流3.5kbpを含むことがわかったため、塩基配列を決定し、ZとW遺伝子間の違いを調べた。その結果、ZとWともに上流300bpの配列はほぼ完全に一致していたが、約1kb上流ではW-SOX3に2種類の7塩基のエレメントが存在し、しかも両者はお互いにほぼ完全なパリンドローム構造を示した。一方、Z-SOX3ではその部分が完全に欠失していた。また、約0.5kbp上流では、逆にZ-SOX3だけに特異的な35塩基の配列が2種類存在した。これらの配列がZとW-SOX3発現の違いを誘導している可能性が示唆される。そこで、トランスジェネシスによる解析を行うため、得られた断片を利用して導入コンストラクトを作成した。
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NTS 1
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爬虫両棲類学会報 2009(2)
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