研究課題
飛騨人のDNAを抽出するための口腔粘膜試料を飛騨で集める作業では、平成21年春までに既に数百人分の試料を収集し、その内約160人分のmtDNAのDループ領域(約1,300塩基対に渡る中立部分)全体における塩基配列を調べ、ハプログループ解析を行っていた。解析数を千にまで延ばす必要があるので、平成21年度には、試料収集数をほぼ千に延ばすと共に、解析数を約350に高めた。mtDNAは母親のみから子に伝わるので、母親または母親の母親が明治大正期の飛騨生まれという条件で試料提供者を選んだ。この条件による良質の試料を得た例は他にはなく、貴重である。しかし、この条件に合うか聞くには飛騨人に信頼される人でなければならないので、住がこの任に当たった。飛騨で少なくとも3百年は続く旧家の出身で、両親および祖父が教師だったので、これらに由来するつながりにより同じ飛騨人としてのよしみと信頼を得ることが、DNAを調べるための生体試料提供者になって貰うことに有効に働いた。飛騨で収集した試料は定期的に住が東大に運んだ。そこからDNAを抽出し、Dループ領域をPCRにより大増幅し、塩基配列を調べ得るまでに調整する作業を針原と住が東大で行った。その試料における塩基配列を読む作業は宇津巻、伊藤と石浦が名大遺伝子実験施設のシークエンサーを使って行った。宇津巻と石浦は連携研究員である。名大で解読された塩基配列をハプログループ解析する作業は、本研究に携わる研究者全員で行った。飛騨におけるmtDNAハプログループ出現頻度分布と、文献に発表されている日本の他の地域における当該分布から、日本列島各地における縄文系対弥生系人口比率を決めるための方法を本研究者に関わる研究者全員で考察した。
すべて 2009
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Cell Biochem.Funct. 27
ページ: 402-405
日本物理学会誌 64
ページ: 901-909