研究課題/領域番号 |
21570243
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
針原 伸二 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40198932)
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研究分担者 |
住 斉 筑波大学, 名誉教授, 名誉教授 (10134206)
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 分子・遺伝 / 地理的多様性 |
研究概要 |
飛騨人のミトコンドリアDNA (mtDNAと略す) とY染色体DNAを抽出するための口腔粘膜試料収集数を 1,200 に高めた。前年度に引き続き、mtDNAのDループ領域(約1,300塩基対に渡る中立部分)全体における塩基配列多型を調べ、そのハプログループ分けを行ったが、その試料数を約700に高めた。これにより求められたハプログループ出現頻度分布は相当に信頼性の高いものになって来た。飛騨における当該分布と日本の他の地域における当該分布から日本列島各地における縄文系対弥生系人口比率を決める方法は、研究初年度において本研究に関わる研究者全員で考察したので、飛騨における解析数が 700 に達した段階における当該分布と文献に発表されている他地域における当該分布から、日本列島各地における縄文系対弥生系人口比率を求めた。 日本列島各地におけるmtDNA塩基配列多型に関わるハプログループ出現頻度分布は、縄文系の人たちと弥生系の人たちの寄与の和になっている。しかし、両者の寄与を分ける方法は今まで見つかっていなかった。飛騨における当該分布と、日本の他地域における当該分布から、それらを両者の和に分ける方法を前々年度に本研究に関わる研究者全員で考察したので、その方法を使って、飛騨における解析数が 700 に達した段階における、日本各地の縄文系の人たちのみおよび弥生系の人たちのみにおけるハプログループ出現頻度分布を求めた。その計算には上記比率の計算よりも統計的ゆらぎが入り易いので、信頼出来る結果を得るには飛騨における解析数を 700 よりもっと千に近づけなければならないことが分かって来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
縄文系対弥生系人口比率の計算では、解析数が少ないと統計的ゆらぎが多くなり、信頼出来る結果が得られない。それを避けるには、解析数が 700 を越える必要があることがこの比率を計算する過程において次第に明らかになって来た。現在、飛騨における解析数が 700 に達したことより、日本列島各地におけるこの比率の計算結果を論文発表出来る状況が熟成されて来た。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」の後半に述べた状況に応じて、日本各地の縄文系の人たちのみおよび弥生系の人たちのみにおけるハプログループ出現頻度分布の信頼性高い結果を求めるために、飛騨における解析数を 700 よりもっと千に近づける。その進展に応じて、日本各地における縄文系対弥生系人口比率と共に、各地の縄文系の人たちのみおよび弥生系の人たちのみにおけるmtDNAハプログループ出現頻度分布を更に信頼性高いものとして求める。鎌倉市由比ガ浜出土鎌倉時代人骨の mtDNA多型ハプログループ解析が報告されているので、鎌倉時代の縄文系の人たちのみにおける当該ハプログループ出現頻度分布を求め、関東地方における縄文系の人たちの時代的変遷も明らかにする。
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