日常の温熱環境や体質と温熱適応能についての検討を行った。被験者は健康な女子21名(平均年齢21.24歳)とし、アンケートにより暑がりグループ12名、非暑がりグループ9名に分けた。前室(環境温26±1℃、湿度60±10%)で20分間、曝露室(環境温28℃、30℃、32℃、湿度50±10%)で60分間椅座位安静にさせた。曝露室入出前後に体重の測定、10秒毎に皮膚温、衣服内湿度、5分毎に主観申告、10分毎に心拍数、血圧、曝露室入室前後と30分目に舌下温を測定した。着用した衣服の熱抵抗は0.25cloであった。 環境温28℃での前腕皮膚温は暑がりが34.47℃、非暑がりが34.05℃で暑がりが有意に高く、平均皮膚温も暑がりが34.25℃、非暑がりが34.06℃で暑がりが有意に高かった。舌下温は両グループ間に差は認められなかった。皮膚表面からの放熱が多い暑がりが、体内温度(舌下温)を非暑がりと同程度に保っていることから、暑がりの産熱量が大きいことが示唆された。暑がりが生理・心理的にも発汗する傾向にあるが、非暑がりとの差は小さいものと思われる。心拍数と血圧は3温熱条件で同様に変化し差は認められなかった。中程度の暑熱環境では循環機能への負担は同程度であるものと考えられる。両グループとも温冷感-平均皮膚温、快適感-平均皮膚温に相関が見られた。両グループの温冷感の感じ方は同程度のものであったが、快適感については、暑がりは皮膚温が上昇するとすぐに不快を生じる傾向にあった。
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