日常の温熱環境や体質と温熱適応能について、フィールド調査により検討した。 青年女子90名に対して暑がり等についてのアンケート調査を行い、10名の暑がり(HS群)と10名の非暑がり(NS群)を被験者として選出した。彼女らの住宅の温熱環境を7月から8月にかけて1週間、10分毎に測定した。同時に、住宅に滞在する間に約1時間ごとに皮膚温(身体7か所)、温冷感、快適感、発汗感、室温の希望度を記録した。皮膚温は放射温度計により、被験者自身が測定・記録した。また、着用した衣服を室内用、外出時に分けて記述させ、衣服量(Clo値)を算出した。 得られた結果は、(1)HS群が温熱的中立(暑くも寒くもない)とした室温は平均27.2℃、NS群は28.3℃であり、HS群では低い室温を好んだ。また、温熱的快適性が維持できる室温はHS群28.5℃以下、NS群が29.7℃であった。(2)温熱的中立である平均皮膚温34℃が得られた室温は、HS群では31.2℃、NS群では28.7℃であった。(3)発汗を感じた時の室温は、HS群では30.1(標準偏差2.39)℃、NS群では30.7(1.81)℃であり、HS群は汗をかきやすい傾向が示された。(4)室温をこのまま維持したいとした時の室温はHS群27.9(2.15)℃、NS群は28.5(1.87)℃であり、これ以上の室温ではエアコンを使用することが多かった。 これらの結果は実験室実験で得られた「暑がりは暑熱曝露時に皮膚血管拡張が十分でなく、放熱が抑制される傾向にある」との特徴が、住まい方にも影響を与え、エアコン等を使用して住宅内の室温を低く保ち、温熱快適性を維持する傾向にあることが示された。
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