研究概要 |
本研究では、平成21年度はトマトのリソースを対象に以下の4つの項目について研究を実施した。トマトでは国際トマトゲノムコンソーシアムの多くの研究者がトマトのモデル品種として使用しているマイクロトム(Micro-Tom)を研究材料として使用した。 1)TILLINGのためのDNAプールの整備:変異誘発系統5,000系統の内、本年度は1,200系統のゲノム抽出を行い、平成20年度までのゲノムDNA抽出系統2,000系統と合わせて、3,200系統のゲノムDNAの抽出を終了した。 2)TILLINGの低コスト化:申請者らは、特異蛍光プライマーを使ってトマトのエチレン受容体遺伝子Nrの変異をTILLING法により同定する技術を確立している。本年度は、この方法を改良し、ユニバーサル蛍光プライマーを使ったTILLING技術の開発に成功した。 3)DNAプールの変異率の評価:抽出が終了している変異誘発系統3,000系統のゲノムDNAを使って、申請者らが既にゲノム配列の取得を行っているトマトの重要形質に関わる遺伝子(エチレン受容体遺伝子S1-ETR1,Nr,メチレイション関連遺伝子SLDDM1をコードする遺伝子配列について、特異蛍光プライマーを使い、TILLING法による変異のスクリーニングを行った。SLDDM1につては、3,000系統から4つの変異アリルをスクリーニングした。その内2系統については、アミノ酸置換変異体であることを確認した。 4)TILLINGによる1塩基置換変異系体の選抜:トマトの育種形質に関与すると推定されている遺伝子の完全長cDNAクローンとそれに対応するゲノム配列の情報を獲得した。具体的には、トマトの重要な育種形質の中から、果実の日持ち性に関与すると推定される遺伝子(Nr,PG,PL,EIN3)のcDNA情報とゲノム配列情報を獲得した。
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