トマトのリソースを対象に以下の4つの項目について研究を実施した。本研究では、国際トマトゲノムコンソーシアムの多くの研究者がモデル品種として使用しているマイクロトムを研究材料とした。 1)TILLING法のためのDNAプールの整備:変異誘発系統4000系統のゲノムDNA抽出を完了した。 2)TILLING法の低コスト化:特異蛍光プライマーを使って選抜した単為結果性、果実の日持ち性に関する遺伝子の変異の検出をユニバーサル蛍光プライマーにより試みたが再現性に難が認められた。逆に特異蛍光プライマーを使い精度を上げることでコストを低減できた。 3)TILLINGによる1塩基置換変異系体の選抜:前年度に獲得したトマトの育種形質(単為結果性、日持ち性)に関与すると推定されている遺伝子情報をもとにTILLING用の蛍光プライマーを設計し、TILLINGによるスクリーニングを行い、目的遺伝子に変異の導入された変異誘発系統を同定した。同定した変異誘発系統の自殖・選抜を繰り返し、変異遺伝子がホモとなった系統を獲得した。さらにこれらの変異体の表現型の解析を行い、トマト育種におけるTILLING法の有効性を示した。 4)選抜した1塩基置換変異体の解析:得られた変異体を栽培し、誘発された遺伝子変異の植物の表現型(果実日持ち性)に対する影響を明らかにした。さらに、正常型遺伝子を変異体に形質転換し、変異体で観察された表現型の回復実験を予定していたが、得られた変異形質が優性形質であったために相補実験が出来なかった。
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