研究概要 |
本年度は、研究代表者らが構築したマイクロトム(Micro-Tom)を基盤としたトマト変異体リソースを対象に以下の2つの項目について研究を実施した。マイクロトムは、国際トマトゲノムコンソーシアムの多くの研究者がトマトのモデル品種として使用している研究材料である。 1)TILLINGによる1塩基置換変異系体の選抜:前年度までに設計したTILLING用の蛍光プライマーを用いて、トマト変異誘発系統5000系統のTILLINGによるスクリーニングを行い、トマト重要形質(日持ち性、GABA代謝)に関連した遺伝子に変異の導入された変異誘発系統を同定した。同定した変異誘発系統の中から日持ち性に関する変異体(エチレン受容体変異体Sletrl-1,Sletrl-2)の解析を集中的に実施した。変異体の自殖・選抜を繰り返し、変異遺伝子がホモとなった系統を獲得した。さらに後半にこれらの変異体の表現型の解析を行い、Sletrl-2変異体がトマトの日持ち性改良に有望であるデータを示し、トマト育種にTILLINGプラットフォームが有効であることを実証した。 2)選抜した1塩基置換変異体の解析:前年度に引き続いて、得られた変異体を栽培し、誘発された遺伝子変異(Sletrl-1,Sletrl-2)の植物の表現型(果実日持ち性)を調査し、これらの変異遺伝子が果実日持ち性向上に有効であることを明らかにした。更に、2つの変異遺伝子(Sletrl-1,Sletrl-2)をクローニングし、アグロバクテリウム法でマイクロトムの野生型に形質転換し、組換え体がエチレン非/低感受性を示し、果実の日持ち性が大幅に向上することを示し、変異体で観察された表現型がこれらの変異遺伝子により引き起こされることを証明した。
|