オオムギ野生種(Hordeum bulbosum)は、独立二遺伝子座(SおよびZ)支配の自家不和合性を有している。本研究では、新たな花粉側S遺伝子候補を探索するため、雌ずい側S遺伝子の有力候補HPS10遺伝子周辺のゲノム塩基配列解析を行った。S1およびS3ハプロタイプから単離した当該ゲノム領域のクローンコンティグ(50kbおよび67kb)の全塩基配列を決定し、遺伝子の予測および発現解析を行った。その結果、HPS10遺伝子近傍にはハプロタイプ間で多型に富むゲノム領域が存在すること、また当該領域内に生殖器官で発現している遺伝子のあることが明らかとなった。さらに、上記のゲノムシーケンスデータを用いた花粉タンパク質のプロテオーム解析から、自家不和合性の認識因子として機能しうる推定タンパク質が新たに見出された。
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