研究課題
β-グルカンレス突然変異体OUM125のβグルカン欠失性(bgl,beta-glucanless)遺伝子を分子マーカーを用いてマッピングした。OUM125×Bowanの交雑F2 104個体を用いてマッピングを行った。この際、種子は半切し、胚の無い側を用いてβグルカン含量を個別に測定するとともに、胚のある残りの半粒は発芽させてDNAを葉から抽出しマッピングに使用した。その結果、βグルカンレス性とセルロース合成酵素様遺伝子HvCslF6の塩基多型は完全に共分離することが確認された。OUM125のHvCslF6遺伝子は第3エキソン中に1塩基多型(G→A)が見つかり、これにより660番目のグリシンがアスパラギン酸に変化すると推定された。したがって、OUM125のβ-グルカン欠失性はHvCslF6の機能欠損突然変異による可能性が高いと考えられた。さらに、OUM125は冬場の寒さの厳しい関東以北に栽培すると茎葉の先端が黄色く枯れることがわかっている。この冬場の葉枯れを指標にオオムギ品種サチホゴールデンの突然変異体集団約2,000系統をスクリーニングすると、10系統が葉枯れを示した。これらの系統の種子のβグルカンを測定したところ、2系統(KM27およびKM30)がβグルカンレスであることが明らかになった。それぞれの系統をOUM125と交配して対立性検定を行ったところ、いずれも同じ遺伝子座であることがわかった。現在これらの系統のHvCslF6遺伝子の塩基配列を調査しているところである。
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Journal of Experimental Botany
巻: 61 ページ: 3983-3993