研究概要 |
(1,3;1,4)-β-D-グルカン(混合型グルカン)はイネ科の組織でみられ、オオムギで特徴的に高い値を示す。本研究では(1,3;1,4)-β-D-グルカンレス突然変異体を3系統特定し、それらが調査した全ての組織で(1,3;1,4)-β-D-グルカンを完全に欠くことを示した。(1,3;1,4)-β-D-グルカンレスの表現型は7H染色体長腕に座乗するHvCslF6の多型と完全に連鎖していた。(1,3;1,4)-β-D-グルカンレス突然変異体のそれぞれはコード領域内の異なる位置に1塩基置換を有し、高度に保存されたアミノ酸残基の置換を引き起こすことがわかった。(1,3;1,4)-β-D-グルカンレス突然変異体では胚乳から抽出した膜画分での(1,3;1,4)-β-D-グルカン合成酵素活性が完全に欠損していた。Nicotiana benthamianaの葉にHvCslF6 cDNAを導入し一過的に発現させた系でも、(1,3;1,4)-β-D-グルカンレス突然変異体の(1,3;1,4)-β-D-グルカン合成酵素活性が欠損していることが確認された。これらの結果より、オオムギゲノム中に存在する7種類のCslFおよび1種類のCslHの中でHvCslF6は特異な性質を有しており、(1,3;1,4)-β-D-グルカン合成の鍵となる酵素であることが明らかとなった。
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