シロイヌナズナのADP-グルコースピロホスホリラーゼ大サブユニット遺伝子ApL3のプロモーター領域とウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を連結したレポータープラスミドと、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターとタバコモザイクウイルス5'非翻訳領域にAtWRKY20のcDNAを連結したエフェクタープラスミドを作成し、パーティクルガンを用いてシロイヌナズナ葉身に導入した。レポータープラスミドのみを導入した時と比較して、レポータープラスミドに加えてエフェクタープラスミドを同時に導入するとルシフェラーゼ活性は約3倍に高まった。また、ゲルシフトアッセイによりAtWRKY20タンパク質はApL3遺伝子の転写開始点より5'上流-134から-58の領域に結合することが示され、AtWRKY20はApL3遺伝子に直接作用する転写活性化因子であることが明らかとなった。そこで、サツマイモのADP-グルコースピロホスホリラーゼ小サブユニット遺伝子ibAGP1のプロモーター領域とウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を連結したレポータープラスミドを作成し、AtWRKW20あるいはASML2のcDNAを組込んだエフェクタープラスミドとともにパーティクルガンを用いてサツマイモ葉柄に導入した。ASML2はシロイヌナズナにおいてApL3遺伝子の発現レベルを高めることが報告されている転写制御因子である。AtWRKY20によりibAGP1プロモーターの転写活性は約4倍に高まったが、ibAGP1プロモーターの転写活性に及ぼすASML2の影響は認められなかった。これらのことから、シロイヌナズナの転写因子が全てサツマイモに利用できるわけではないが、AtWRKY20はサツマイモのデンプン合成に関わる遺伝子の転写活性を高めるのに有望な転写因子であることが示された。
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