ADPグルコースピロホスホリラーゼはデンプン合成を制御する鍵酵素である。カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流に転写因子AtWRKY20のcDNAを連結したプラスミド(エフェクタープラスミド)とADPグルコースピロホスホリラーゼ遺伝子ibAGP1のプロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結したプラスミド(レポータープラスミド)を同時にサツマイモ細胞に導入すると、AtWRKY20のcDNAを連結していない空のエフェクタープラスミドとレポータープラスミドを導入した時と比較してルシフェラーゼ活性が高まった。次に、ibAGP1プロモーターを5'末端から徐々に削除したレポータープラスミドを作成し、サツマイモ細胞に導入した。その結果、転写開始点より5'上流-640から-180の領域に転写を活性化するシス因子が存在することが示された。さらに、-640から-180の領域にはWRKYが結合すると予想されるSURE様配列とWボックスがそれぞれ2箇所と3箇所存在していた。そこで、それぞれのシス因子とAtWRKY20との結合をゲルシフトアッセイにより検討したところ、転写開始点より5'上流-640から-490に存在するSURE様配列とWボックスにAtWRKY20が結合することが示唆された。さらに、AtWRKY20のmRNAレベルはスクロースにより大きく高まり、マンニトールによってもmRNAレベルが高まった。以上の結果より、AtWRKY20は糖に応答する転写因子であり、ibAGP1プロモーターに直接結合して転写を活性化することが明らかとなった。
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