研究概要 |
カーネーション鉢花は「母の日」を中心に出回る重要な品目であり,インパチェンスは花壇用または鉢物として重要であるが,両種とも輪送中のストレスに弱い.本研究では鉢花の輪送技術の向上を目的に,Modified Atmosphere(MA)包装と1-メチルシクロプロペン(1-MCP)を両鉢花に行い,観賞価値および包装内のガス組成に及ぼす影響を調査した.鉢花は厚さ0.1mmのポリエチレン袋を用いて個別に包み密封し,袋内で0.1ppmまたは1.0ppm 1-MCP処理を発生させた.段ボールに入れ,輸送をシュミレーションするため20℃暗黒条件下にて2日間処理した.処理期間中,袋内の空気を採取し,エチレン,CO_2,酸素および窒素の濃度をガスクロマトグラフでモニタリングした.鉢花の開花数,蕾数および萎凋花数などを測定し,観賞価値を調査した.その結果,1-MCPとMA包装の組み合わせ処理において,両品目で品質の顕著な改善が認められた.カーネーションでは1-MCP処理は,処理後4~8日目の開花数を有意に増加させた.カーネーション鉢花における包装内のガス組成は,MAP処理48時間中のエチレン濃度は処理開始24時間径にピークを示し,以後減少した.CO_2は時間の経過に伴い増加し,48時間後には4%以上に達した.酸素は時間の経過に伴い減少し,約15%まで減少した.しかし,実用化のためにはMA包装内のガスをより早く品質保持に良好なレベルに達する技術が必要があると考えられた.インパチェンス鉢花において1-処理は葉の黄化を抑制した.一方,MA包装のみの処理では,インパチェンス小花の落花が増加したことから,1-MCPを組み合わせが望ましいことが示唆された.
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