研究概要 |
カーネーション鉢花は母の日に集中的に流通し、輸送中ストレスや環境中のエチレンにより品質が低下しやすい。昨年度はModified Atmosphere(MA)包装と1-メチルシクロプロペン(1-MCP)による観賞期間の延長効果を報告した。今年度はさらにMA包装の効果を高めるため、MA包装開始時にCO_2を送り込むActive(能動的)MA包装を試みた。'スカーレット'鉢花の小花を厚さ0.1mmのポリエチレン袋を用いて密封し、袋内を2.75%CO_2、11.5%O_2の条件とし、20℃暗黒条件下にて2日間処理した。同時に1ppm 1-MCP処理を行った。開封後、20℃の室内において、小花の日持ち、エチレン生成量、呼吸量およびエチレン生成関連遺伝子について調査した。その結果、対照区における小花のエチレン生成量は収穫4日後に58.3nL/g/hrと高く、クライマクテリック上昇を示した。一方、能動的MA包装(a-MAP)および1-MCPと能動的MA包装の組み合わせ処理(a-MAP+MCP)により、有意に抑制された。対照区の呼吸速度は収穫8目後には1mL/g/hに達したが、a-MAP区では0.5以下、a-MAP+MCP区では0.3以下であった。対照区の雌ずいにおけるACC合成酵素(DC-ACS1,DC-ACS3)の発現はa-MAP区およびa-MAP-MCP区において少ない傾向にあった。花弁のACC酸化酵素(DC-ACO1)の発現はa-MAPおよびa-MAP+MCP区で、対照区よりも遅れた。対照区における小花の日持ちは5.5日であり、a-MAP区では2.3日延びて7.8日、a-MAP+MCP区では7日延びて12.5日となった。a-MAP+MCPは、エチレン関連遺伝子の発現とエチレン生成を抑制し、呼吸速度を低下させ、鉢花の品質向上に寄与することが示唆された。
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