研究概要 |
母の日用のカーネーションなどの鉢花は短期間に集中的に輸送されるため,高温ストレスやエチレンにより品質が低下し,消費者の下での観賞価値がしばしば低下する.これまでModified Atmosphere(MA)包装と1-メチルシクロプロペン(1-MCP)による観賞期間の延長効果と小花への能動的MAPの日持ち延長効果を報告した.今回は,鉢花に受動的MAPまたは能動的MAP(10%0_2, 2.8%CO_2)と0.1ppm1-MCPを48時間処理を行い,20℃,PPFD 15μmol m^<-2>s^<-1>(12時間日長)で品質を評価した.48時間後受動的MAPでは,O_2が17%,CO_2が3%に変化したのに対して,能動的MAPでは,O_2が7%,CO_2が3.7%となった,能動的MA包装により,鉢花および土壌呼吸が抑制されることが示唆された。MA包装中のエチレン濃度は1-MCP処理によって高まる傾向にあった.これは,1-MCPによりエチレンが受容体に結合されにくいことが原因と考えられる.能動的MA包装は受動的に比べて開花を遅らせ,処理4日後の開花数を増加させた.能動的MA包装は葉身中の炭水化物,特に,ピニトール含量を高める傾向にあった.1-MCP処理は鉢物中のしおれた小花数のピークを処理6日後から10日後に遅らせた.能動的MA包装と1-MCPの組合せ処理は開花数を有意に増加させた.これらの結果から,より早く高CO_2条件とする能動的MA包装と1-MCPの組合せ処理は,鉢花カーネーションの呼吸とエチレン生成を抑制し,炭水化物含量の減少を緩和し,鉢花品質を改善することが示唆された.しかし,鉢花全体よりも,小花のみを能動的MA包装と1-MCPの組合せ処理した方が,顕著な効果が認められたことから,本技術は切り花へ適用できると考えられる.
|