剪定枝を堆肥化する際の堆肥化判定基準を確立させる一環として、剪定枝由来のチップ材の堆肥化に伴う、チップ材表面の微細構造の変化を明らかにした。剪定枝チップ材の表面は堆肥化に伴い凹凸の密度と大きさがともに大きくなる傾向にあった。この結果は、従来の主観的な拝披か判定基準である「手触り」に影響すると考えられる。剪定枝の効率的・省力的な堆肥化法について検討する一環として、剪定後の期間が異なる剪定枝を使い、堆肥化特性を比較した。剪定枝を剪定直後に粉砕し、堆肥化を始めるよりも、剪定後、しばらく放置した方が堆肥化期間を短縮できる可能性が示唆された。剪定枝など木質系の廃材を主原料とする堆肥を都市近郊の水田に施用した効果について検証した。木質系堆肥の施用によって土壌の保肥力、炭素濃度、交換性塩基濃度がいずれも高まった。嫌気的な環境に有機物を施用することで懸念されるメタンガスの発生については、従来から用いられている他の有機物資材と同等以下であった。木質系廃材を膨軟化(解繊)し、法面緑化の植生基盤材として活用した場合の有効性について検討した。施工直後に養分の流亡が見られたものの、その後は順調に生態系が形成・発達していることが確認された。木質系廃材をチップ化し地面に敷き均して雑草を抑制する工法について、工法と雑草抑制効果の関係についての検討を開始した。粒径の大きなチップ材を敷きならすと雑草抑制効果が低くなること、使用するチップ材の粒径や転圧の有無、砂散布の有無により、地温やチップ材下の酸素濃度に大きな違いが出ることが明らかになった。
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