研究課題/領域番号 |
21580030
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高木 敏彦 静岡大学, 農学部, 教授 (40026612)
|
研究分担者 |
加藤 雅也 静岡大学, 農学部, 准教授 (10432197)
八幡 昌紀 静岡大学, 農学部, 助教 (60420353)
|
キーワード | 貴陽 / 倍数性 / 非還元配偶子 / 味なし果 / 糖代謝酵素活性 / 輪紋形成 / フローサイトメーター |
研究概要 |
ニホンスモモ(2倍体)とヨーロッパスモモ(6倍体)の正逆交雑により得られた後代の倍数性調査の結果から、種子親をヨーロッパスモモとした場合、全て4倍体の完全種子であり、一方ニホンスモモを種子親にした場合、完全種子ではほとんど5倍体であるのに対して不完全種子では4倍体が多く出現した。非還元配偶子由来の倍数性はニホンスモモに起因するもので、とくに'貴陽'の種子親である'太陽'では、非還元雌性配偶子の出現頻度は全種子中4~6%であることが推察された。 低品質果実(味なし果)と正常果の区別は、外観上輪紋の発生の有無によって区別できるが、その発生始期は着色開始時であり、果実のスクロース含量が急激に増加する時期と一致する。輪紋の発生は果梗部より生じ、気孔を中心とした果皮の亀裂に始まり、その後急速に果実赤道部、果頂部に拡大していくことが明らかになった。また、果皮表面を水糊で被膜した場合、全ての果実が味なし果になったことから、この発生に気孔機能の関与が示唆された。 正常果の糖含量・組成は、味なし果に比べ、スクロース及びソルビトール含量ならびに組成比ともに高かった。これらの糖代謝に関連する酵素遺伝子を単離し塩基配列を決定した。輪紋が発生する直前にスクロースシンターゼ遺伝子の発現が高まることから、この遺伝子発現の多寡が正常果、味なし果の形成に関与していることが示唆された。現在、他の糖代謝酵素遺伝子(インベルターゼ、スクロースホスフェイトシンターゼや糖集積に関わるスクローストランスポーター遺伝子についても検討中である。
|