研究課題
自家和合性ホモ個体'TH3'に全く自発休眠に入らない横山を交配して育成したF_1約200個体の低温要求量を明らかにし、遺伝様式を推測すると同時に、低温要求の極めて少ない個体の選抜とこれらに特異的な分子マーカーを検索することを目的として実験を行った。横山'の萌芽率は冬期間60%以上の高い値を示したのに対し、TH-3の萌芽率は低く推移した。また、F1個体の低温要求量は'横山'とTH-3の間に分布し、それらの多くはニホンナシ品種より少ない低温要求量を有していた。この結果を基に検定を行った結果、低温要求量はQTLによって決定されていることが明確であった。一方、F1個体の中で、自家和合性で著しく低い低温要求量を示す個体は育種材料として活用できると考えられる。また、F1個体の落葉期は11月下旬から12月中旬で、'横山'の特性を強く受け継いでおり、自発休眠導入も遅いものと考えられた。PODおよびGOTアイソザイム分析の結果、少低温要求性ナシ系統選抜に有用なものはみられなかったが、すべてのF1個体は'横山'由来のGOTバンドを有していた。120種類のプライマーを用いてPCR反応を行った結果,TH-3または'横山'に特異的な多型が得られた.それらの多型が得られたプライマーを用い,再度同様のPCR反応を行い再現性の得られたプライマーは68種類であった.ランダムプライマーを用いた今回の実験では高い再現性が確認でき,F_1個体を用いてRAPD解析を行ったが、低温要求量の極めて少ない個体の選抜マーカー開発には至らなかった。今後、QTL解析を行うと同時に、F1,F2系統の中から低温要求の極めて少ない個体を選抜するとともに、高接ぎにより増殖し花芽着生や樹体成長、果実特性、自家和合性を調査し、特性を明らかにする必要がある。
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J.Amer.Soc.Hort.Sci.
巻: 135 ページ: 174-182
園芸学研究
巻: 10 ページ: 87-92
http://staff.muses.tottori-u.ac.jp/tamura/