研究概要 |
1本研究の目的は、Pelargonium属植物の薄黄色花弁を持つ野生種の花色素の遺伝様式を解明することにより、優良な黄色花園芸品種を作出するための基礎的知見を得ることである。 2,薄黄色花野生種の自殖およびこれらの間のF_1植物を供試して、花色と花色素とについて調査し、それらの関連性を追究した。 (1)Pelargonium属Hoarea節の野生種、自殖個体およびF_1個体の植物で、薄黄色花弁の生花弁の花色を色差計より測定したところ、黄色および薄き色花弁のL*値は70-85、a*値は0.18--3.03、b*値は7.63-25.89であった(L*は明度、a*は赤色b*値ば黄色値を示す)。 (2)薄黄色花弁について、分光光度計で吸光度を調査した結果、最大吸収波長は420、450、470nmであった。 (3)薄黄色および黄色花弁に含有される色素はカロテノイド"色素であった。カロテノイド色素(最大吸収波長450nm)を抽出し、液体クロマトグラフィーを用いて色素分析を行った。11本のピークが検出できた。このうちルテインとβ-カロテンとが同定できたが、その他のヒークは極めて低く、同定は困難であった。主要色素はルテインで、ほとんどの野生種やF1植物ではこの色素で50%-90%以上を占めていた。 (4)花色と花色素との関係については、全カロテノイド量と花色との関係およびルテイン含量と花色との関係をみたが、両者ともに明確な関連性は認められなかった。 (5)Pelargonium属Hoarea節の黄色花弁野生種、自殖個体およびF_1個体植物における花色変異は、ルテイン含量とその他の微量のカロテノイド色素の含有組み合わせによって生じていると、推測された。
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