研究課題
本研究は、アスパラガスの長期連作圃場において発生する低収要因を解明し、その主要因と考えられているアレロパシー作用に注目し、アスパラガスの持つアレロパシー活性に関する諸要因を明らかにして、わが国の産地で直面している連作障害の回避技術を確立するものである。研究2年目(平成22年度)は、前年度に開発した無菌的生物検定系において得られた浸出液の解析を進めた。本研究において、この浸出液中には多量の塩類が存在することが解っていたが、それらが生物検定系の検定植物に及ぼす阻害活性の全てを担っているわけではないことが明らかとなった。一方、阻害活性は有機酸に起因することも明らかであり、特に、化学合成したアスパラガス酸を標品としてキャピラリー電気泳動(CE)による解析を行ったところ、無菌浸出液中にアスパラガス酸が放出されているという興味深い結果が得られた。これらの研究成果は関連学会において公表するとともに、学術雑誌に論文が2件掲載された。現在、無菌浸出液中に存在する全ての有機酸の同定を進めており、検定植物にアスパラガスを用いた生物検定を行うための準備を行っている。これまでの研究から、連作障害圃場の土壌や生育衰退株の根圏土壌を分析するのではなく、連作障害圃場へ健全な実生を定植し、一定期間の栽培の後に根圏土壌を詳細に分析することが重要であると考えるに至った。そこで研究最終年度は、温室のポットにおいて育成してきた数百のアスパラガス2年生実生を実際に連作障害圃場へ定植し、経時的に根圏土壌の抽出液をCE-MSによって解析する予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
J.Japan.Soc.Horticultural Sciences
巻: 80 ページ: 82-88
巻: 80(印刷中)