研究課題
本研究は、アスパラガスの長期連作圃場において発生する低収要因を解明し、その主要因と考えられているアレロパシー作用に注目し、アスパラガスの持つアレロパシー活性に関する諸要因を明らかにして、わが国の産地で直面している連作障害の回避技術を確立するものである。研究最終年度(平成23年度)は、アスパラガス無菌実生のアレロパシーが強活性となる光質の種類と組合せ(RGBのバランス)をスクリーニングし、無菌浸出液の解析が速やかに進むように生物検定系を改良した。研究成果は関連学会において公表するとともに、学術雑誌に論文が1件掲載された。特に、アスパラガスが放出した物質がアスパラガスへ影響を及ぼしているかについて、培養細胞と無菌実生の雌雄性を性判別マーカーで判定後に生物検定へ用いることで雌雄株が有するアレロパシー活性の相互作用を検出する実験系を作出したことから、近年開発された手法によって同定した超雄も含めての解析を遂行中である。この研究成果は、次年度の関連学会での発表及び学術雑誌への投稿を準備中である。これまでの研究から、連作障害圃場の土壌や生育衰退株の根圏土壌そのものを分析するのではなく、連作障害が発生しているポイントへ健全な実生を定植し、一定期間の栽培後に根圏土壌を詳細に分析することが重要であると考えるに至っている。今後は、温室のポットにおいて育成してきた数百のアスパラガス2~3年生実生を実際に連作障害圃場へ定植し(現地における連作障害発生ポイントは複数箇所について確定済み)、経時的に根圏土壌の抽出液についてメタボローム解析を行う予定である。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
J.Japan.Soc.Horticultural Sciences
巻: 80 ページ: 169-174