研究課題
本研究における初年度では新規素材は、木粉や竹粉に加えて柿の渋み成分(カキタンニン)とタンパク質(ミルクカゼイン)および酵素類似触媒を利用して作成し、それらを加熱、圧縮することによって、エコ茶碗等の成型品を作成していた。史に、それら以外に緑茶がら、ウーロン茶がら、コーヒーがら、豆乳残さ、柑橘ジュース残さ、サツマイモのデンフン滓、焼酎滓などが利用できることを実証した。平成22年度の研究では、それらの残さを大雑把に分析すると、(1)セルロースなどの多糖類が主成分のもの(木粉、竹粉など)、(2)それに加えて、タンパク質を多く含むもの(緑茶がら、豆乳かすなど)、(3)それに加えて、クチクラや油脂を多く含むもの(コーヒー滓や豆乳かすなど)、(4)酸化酵素の活性が強く残っているもの(ウーロン茶がら、緑茶がらなど)に分類することができ、現在の食品や飲料産業から排出される各種の植物残さを相互にブレンドすることによって、従来のように新ためて、タンパク質や酵素類似触媒を添加することなく、従来品に近い、天然物100%の成型品を作る可能性を実証した。特に、タンパク質の多い茶がらベースの成形品は、光沢、肌触り、強度とも優れたものを作ることに成功した。このことは、廃棄された多様な植物残さを有効利用できることに加えて、この成型品のコストを大幅に下げることが可能となった。そして、乾燥粉末に乾燥重当たり30%の水を加えることによって、95℃で12MPa10分間という温和な条件で成型品ができることを新たに見いだし、製造コストと時間を大幅に削減できることにつながった。現在、鹿児島県の加治木産業に試作委託をした半自動の成型装置を用いて、量産化の問題点を洗い出している。成型時間が3分の1から4分の1に短縮している。別途、カキタンニンの増粘性やゲル化の基礎実験も平行して行い、更なる技術革新を目指している。本年度は特許出願を見越して、学会発表および論文等の公表はひかえている。
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J Polymer and the Enviroment
巻: 19 ページ: 100-105