初年度と2年度に得られた研究成果に基づいて、本年度では、鹿児島県の加治木産業で試作していただいた、半自動の連続成型装置を用いて、主に緑茶の茶がらをベースにしたエコ茶碗を製造して、その特性を検討した。2年度の研究成果から、緑茶の茶がらのような貯蔵もしくは構造タンパク質の含量の高い、バイオマスを原料として用いたときには粉末に粘りがでて、新たにタンパク質を添加せずとも成形品を作製することができた。特に、手動の熱圧縮装置による単体成型法では緑茶茶がらベースの成形品は、光沢、肌触り、強度とも優れたエコ茶碗を作製する事に成功したが、半自動の連続成型装置で同等の成形品が作れるかどうかは不明だった。結果として、前年度に見いだした条件(95℃、12MPa、10分間)で茶がら粉末に、カキタンニン30%と水を30%添加した原料を成型することによってエコ茶碗を作製することに成功した。この加治木産業の装置を使うことによって、労力と時間を三分の一に軽減できることが解った。 しかし、30%の水の添加は原料に湿り気を与えて、ステンレス鋳型に粉末を供給するパイプ部分でしばしば固まりができてストップしてしまった。同様に、ステンレスの鋳型にこびりついた粉末の滓を4回に一度ぐらいの頻度で手動で除かないと、装置が動かなくなった。また、最大の問題は、装置のコンプレッサー部分の材料強度の関係で予想以上に熱圧縮時に圧力がかけられずに、成型品、エコ茶碗の強度に大きく影響した。
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