ブドウにおける樹勢調節台木として期待される四倍体台木の根系の形態的(新根の発生数量、分岐パターン、細根の組織学的形態など)ならびに成長速度、細根の寿命などにおける土壌水分ならびに硝酸態窒素濃度変化に対する可塑性について、樹勢が強く根系形態が異なる元の二倍体台木と対比して、その特性を解明することを目的とした。また、この四倍体台木の根系の形態的可塑性について異なる気象環境にある栽培地において比較する。先行して苗木を植え付け、結果樹齢となっている京都府精華町および丹波町のブドウ園にミニリゾトロン(内径40mm長さ130cm)を設置し、デジタルファイバーカメラによる地下部の撮影を行った。同時に気象および土壌環境(気温、地温、土壌水分など)についても経時的な観測を行なった。ミニリゾトロン撮影は23年度まで継続し、連続した根量データに変換し、生育地の環境の差異および台木の倍数性による差異を明らかにする。異なる倍数性の台木に接ぎ木した'巨峰'において、宮崎県宮崎市においても京都府精華町の場合と同様、四倍体台木で果実着色を向上させる効果が認められたが、根系の生長量と果実品質の関連については十分に把握できなかったため、研究期間を通した継続的なルートボックス法による根の観察により、その関係を明らかにすることとした。苗保護用プラスチックシェルター試験を行うにあたって、宮崎大学においてまず効率的な挿し木発根処理法について検討を行い、切り口の形状を改良することで発根率を向上できることを明らかにした。
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