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茎細胞の成長制御機構は特に植物ホルモンのオーキシンの作用を中心に細胞成長生理学的視点から調べられてきた結果、オーキシン誘導成長における細胞壁力学的性質の重要性が示されている。しかしながら、複雑な器官相互作用を受けている個体レベルでの茎成長は、実験系の難しさなどから、ほとんど細胞成長生理学的解析はなされていない。本研究は園芸植物、主にチューリップなどを対象に茎(花茎)の長さの制御機構を、個体レベルすなわち器官相互作用を踏まえて細胞成長生理学的に解析することを目的とした。チューリップは、花茎成長に長期間の低温処理を要するので、解析的成長実験を行うまでの間に種々の実験を実施した。
(1) 休眠打破(低温)処理を施したチューリップ球根を暗所下で水耕栽培した。植物個体から茎葉部域を取り出し、第一節間の長さを様々に調整した後、茎切片から花蕾および葉を切除した。花蕾切除部位にオーキシンを投与した。花蕾切除すると茎はほとんど伸長しないが、オーキシンにより伸長が誘導された。節間ごとの長さと生重量の測定後、成長を規定するパラメータ測定用試料とし、現在、解析中である。
(2) チューリップは休眠打破に長期間の定温処理を必要とする。薬剤による休眠打破をめざし、予備的実験から効果が期待されるオーキシン極性移動阻害剤を短期間低温処理した球根に処理した。その結果、この薬剤による花茎成長促進効果が認められた、この効果については、引き続き次年度に検証する。
(3) チューリップでは、エチレンやジャスモン酸類処理によって多糖類性ガム物質が形成される。今回、園芸上有用な球根植物のムスカリとの比較実験を行い、球根植物問でもガム形成制御に主導的役割を果たしている植物ホルモンおよびガム物質化学組成が異なることを見出した。その成果については論文の形でまとめている。
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