平成21年度の研究目標は、ラベンダーの花芽分化に対する低温要求性の解析(平成21~22年度)およびジベレリン(GA)類の同定とメタボロームマップの作成(平成21~22年度)である。開花特性が明らかではないが、園芸分野で利用されるLavandula×intermediaを研究材料として用いた。生育ステージを調整した挿し木苗を5℃で12週間まで低温処理した場合、10週間処理のものは低温後の温暖条件で100%が花芽分化したが、6週間処理では花芽分化しなかった。花芽分化は低温処理期間中には起こらず、低温後の温暖条件に移行した1週間後から始まった。以上から、L.×intermediaは花芽分化に低温を必要とする緑植物春化型植物の特性を有することが明らかになった。低温処理温度が上昇するにつれて、花芽分化率と開花率が減少する傾向が認められた。十分な低温量を受けた後の植物では日長が伸びるに従い花芽分化率と開花率が増加したことより、L.×intermediaは本質的には量的長日植物であると推定された。6週間以上の低温処理を施した植物ではGA3処理により花芽分化が促進したが、6週間未満の植物ではGA3処理の影響は見られなかった。このことから、GA3処理は開花を促進するが低温を代替する作用はないことが明らかになった。L.×intermediaの内生GAとして、GA1、GA19、GA20、GA53をGC/MSにより同定したが、同時に抽出・精製過程においてラベンダーの主成分である精油成分が分析の障害となっていることが明らかになった。同定したGA類から早期13位水酸化経路(GA12→GA53→GA44→GA19→GA20→GA1→GA8)がL.×intermediaの主たるジベレリンメタボロームマップであることが推定された。
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