研究概要 |
本年度、1.ブルーベリー樹から汁液接種により分離したウイルスの解析、2.黄化症状を呈するブルーベリー樹から検出された二本鎖RNAの解析を行った。 1.本ウイルスはウイルス検定および接木試験から潜在感染性ウイルスであることが分かった。本ウイルスは直径30nmの球状粒子を持っていた。ウイルスゲノムは2成分(RNA1,RNA2)からなり、それぞれ全長7,960塩基と6,344塩基から構成されていた。RNA1とRNA2はネポウイルスと類似したモチーフおよび編成を持つポリタンパク質をコードしていた。RNA1とRNA2の3'非翻訳領域は1,379塩基と1,392塩基からなり,互いに97%の同一性を持っていた。BLSVのRNA依存RNAポリメラーゼとCPのアミノ酸配列を比較したところ、ネポウイルス属サブグループCに所属するウイルスとの間で最も高い類似性(57%,43%)が検出された。これらの特性および系統樹解析から,本ウイルスはネポウイルス属サブグループCの新種ウイルスであると示唆された.本ウイルスは新種であることから、英名および和名を,それぞれBlueberry latent spherical virusおよびブルーベリー小球形潜在ウイルスとした。 2.黄化し衰弱するブルーベリー樹から検出された二本鎖RNAの原因ウイルスをSP3vと暫定的に名付け、ゲノムを解析した。その結果、SP3vゲノムは全長17,798塩基からなり10個のオープンリーディングフレームを持っていた。ウイルスゲノムの編成およびゲノムにHSP70hをコードすることから、SP3vはクロステロウイルス科に所属すると示唆された。さらに、クロステロウイルス科に所属するウイルスとの相同性解析および系統樹解析を行ったところ、現状でSP3vは、どの属にも所属しない新種ウイルスであると示唆された。
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