研究課題
フィールド・マージンの病原菌バンク機能を明らかにするために、平成21年度は、まず白紋羽病菌とホモプシス根腐病菌を定量的に検出するプロトコールを探索した。具体的には、両菌に特異的なリアルタイムPCRプライマーの構築を試みた。前者ではScorpion PCR法をTaqMan probeの系に改良するためのPCRプライマーとプローブの塩基配列を決定した。現在、それらの検出感度と安定性の検証を行っている。後者では、SYBR Green Iを用いたプロトコールを利用して、ホモプシス根腐病菌の宿主特異性を調査した。これはフィールド・マージンの病原菌バンク機能が病原菌の雑草への宿主特異性に依存している可能性が高いためである。この仮説を検証する目的で、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカから分離したホモプシス根腐病菌の各3菌株(計12菌株)と6種のウリ科植物を供試し、12菌株の病原力および感染力を接種試験によって判定した。その結果、供試した病原菌はすべてのウリ科植物に感染し、ホモプシス根腐病を発病させたことから、本菌はウリ科内で宿主特異性を持たないか、あるいは極めて小さいことが明らかとなった。しかし、宿主植物間での感受性や菌株間での病原力と感染力には有意差が認められ、これらの相違が本病原菌の生態に関与している可能性が示された。(この成果は平成22年度植物病理学会大会で発表する予定である。)一方、宿主植物の違いによる微生物群集の変化を調べるために、ナス半身萎凋病をモデルにエンバク野生種前作が後作のナス根圏微生物群集に及ぼす影響を調査した。また、この実験を通して微生物群集構造の解析法についての検討を行った。
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Journal of General Plant Pathology 76
ページ: 21-30
土と微生物 63
ページ: 93-99