MDVゲノムDNAのうち、DNA-U4のプロモーターについては未だ活性については未だ調査解析がなされていないことから、DNA-U4からプロモーター領域の単離を試みた。年度当初にhigh fielity polymeraseを用いたPCRによって増幅されたウイルスDNA配列を調査したところ、ゲノム配列に多くの変異が認められた。より正確な構成機能を持つポリメラーゼであるPhi29 DNA polymeraseを用い、環状DNAを鋳型とし増幅するRolling circle amplification (RCA)法を採用してウイルスDNAを増幅し、ゲノム全体の変異解析を行った。RCA増幅産物は直鎖状の多量体2本鎖DNAであり、これを全てのゲノムDNAの保存領域に存在する制限酵素Aotllで切断して単量体のフラグメントをクローニングし、約300のコロニーをRFLP解析によりDNAコンポーネントごとにグループ化したのちに各グループの塩基配列を解析したところ、得られたDNAコンポーネント間の比率に大きな偏りが見られ、特にDNA-U4と複製開始タンパクをコードするDNA-Rはわずか数個しか得られなかった。この偏りはウイルスゲノムにおける各DNAの存在比を反映していると考えられ、今後の研究進めるうえで貴重な知見であると考えられる。さらにRCA増幅した直鎖状のDNAを直ちに金粒子にコーティングしてパーティクルガンによってソラマメ実生苗に照射したところ、DNA増幅が起こることを確認した。
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