植物による病原体の認識と応答反応における新仮説"デュアルR-遺伝子モデル"を検証することを目的として研究を行った。3種の病原菌に対して抵抗性を示す生態型であるWs-0を用いて解析を行った。Ws-0のタグラインをスクリーニングして得た変異体であるRPS4に変異を有するrps4-21および、RRS1に変異を有するrrsl-1、rrsl-2変異体は、アブラナ科野菜類炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)に対して感受性となった。本現象はRPS4とRRS1-R遺伝子による変異体への相補実験により実証された。以上により、炭疽病菌に対する抵抗性誘導には両遺伝子がR-遺伝子として機能していることが明らかとなった。また、これら変異体を用いた解析により、トマト斑葉細菌病菌(pseudomonas syringae pv.tomato strain DC3000 expressing avrRps4)と青枯病菌(Ralstonia solanacearum)に対しても、RRS1-RとRPS4の両者が抵抗性誘導に必須であることが明らかになった。さらに、rps4-21とrrsl-1の交配によって得た2重変異体rps4-21/rrsl-1を用いた解析により、RRS1-RとRPS4蛋白質は相加ではなく、協調的に相互作用していることが示唆された。炭疽病菌に抵抗性と感受性め20種類のシロイヌナズナ生態型のnatural variatibn解析により、RPS4蛋白質の950番目のチロシンが抵抗性発現に重要であることが示唆された。一方、RRS1-R蛋白質においては、C末端側のアミノ酸配列が重要であることが示唆された。
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