研究課題
植物において複数の抵抗性蛋白質が同時に病原体を認識し防御応答を誘起する現象に関わっていることを証明するために研究を行った。3種の病原菌:アブラナ科野菜類炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)、トマト斑葉細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.tomato strain DC3000 expressing avrRps4)および青枯病菌(Ralstonia solanacearum)に対して、感受性および抵抗性シロイヌナズナ生態型のRRS1とRPS4蛋白質のアミノ酸配列の比較解析(ナチュラルバリエーション解析)により、抵抗性発現に必須なアミノ酸配列を検証した。その結果、炭疽病菌と青枯病菌に対する抵抗性発現には、RRS1蛋白質のC末端領域のアミノ酸配列が重要だが、斑葉細菌病菌に対しては必ずしも必要ではないことが明らかとなった。以上から、2つの抵抗性蛋白質による各病原菌(エフェクター)の認識のための作用機序が異なることが示唆された。3種の病原菌に対して抵抗性を示す生態型であるWs-0のタグラインをスクリーニングして得た変異体(RPS4に変異を有するrps4-21、RRS1に変異を有するrrs1-1)と、これらを交配して得たダブル変異体を用いたマイクロアレイ解析により、炭疽病菌に対する防御応答を解析した。その結果、炭疽病菌の感染に対して特異的に発現(抑制)する遺伝子群が明らかになった。今後は、これら遺伝子の機能について詳細に解析し、病原菌の感染に対する植物の防御シグナル伝達機構を明らかにする。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Journal of General Plant Pathology
巻: 77 ページ: 75-80
DOI:10.1007/s10327-011-0298-x
Plant Biotechnology
巻: 27 ページ: 349-351
Genome
巻: 53 ページ: 257-265
http://www.kibi.ne.jp/~narusaka/index.html