研究課題
デュアル抵抗性蛋白質システムを構成する2つの抵抗性蛋白質RPS4およびRRS1について、シロイヌナズナの20種の生態型における各抵抗性蛋白質のアミノ酸配列を比較した結果、RPS4は生態型間で高い相同性を示したのに対して、RRS1にはロイシンリッチリピート(LRR)配列やC末端領域において生態型間の高い多様性が存在した。LRR配列は特定の蛋白質や分子と特異的に相互作用していると考えられていることから、RRS1が多様な蛋白質を認識するための強い選択圧を受けていることを示唆している。そこで、RRS1およびRPS4の構造と機能を解明するために抵抗性蛋白質RRS1およびRPS4に部位特異的に変異を導入し、病害抵抗性に関する表現型が変化した変異体を複数個得た。特に、RRS1のWRKY ドメインや、ロイシンジッパーにアミノ酸置換を導入した変異体は、形状が綾性化するとともに防御応答遺伝子が常時活性化された表現型を示した。このことから、RPS4は防御応答を活性化し、RRS1はRPS4を介した防御応答を負に制御する因子であることが示唆された。酵母Two-hybridおよびスプリットユビキチンシヌテムにより、2つの抵抗性蛋白質RPS4およびRRSIと相互作用する因子の探索を試み、数十個のクローンを得た。現在、これらクローンの解析を進めている。アブラナ科野菜類炭疽病菌から得たエフェクター分子と2つの抵抗性蛋白質RPS4およびRRS1との相互作用を解析した。その結果、RPS4またはRRS1と特異的に作用するエフェクター分子の発見には至らなかったが、植物に過敏感細胞死を誘導する新規エフェクター分子を発見した。今後、炭疽病菌の感染戦略における本因子の機能を解析する予定である。
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