• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

カイコのW染色体の太古の状態を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 21580063
研究機関東京農工大学

研究代表者

阿部 広明  東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (80222660)

キーワードカイコ / W染色体 / 性染色体 / クワコ / 転移因子 / レトロトランスポゾン / 性決定 / ゲノム
研究概要

近年、昆虫を含む多くの生物でゲノム解析が盛んに行われているが、ほとんどの場合、性染色体の解析は避けて通られているのが実情である。それは繰り返し配列があまりにも多く、解析そのものが困難だからである。しかし本研究では、その性染色体の解析をカイコで行おうとするものである。カイコの性染色体である「W染色体」は、数多くのいわゆる「動く遺伝子」が複雑に入り込むことで構成されている極めて特異な染色体である。常染色体やZ染色体と組み換えることがないため、理論上、永遠に孤立した染色体で、完全に独立して進化してきた。本研究の目的は、カイコのW染色体のDNA塩基配列情報から、後から侵入し、蓄積された数多くの動く遺伝子を取り除くことによって姿を現してくる「太古のW染色体」をDNA塩基配列レベルで明らかにすることである。本年度はカイコの野生種と考えられているクワコを採集し、そのW染色体を戻し交雑によりカイコに導入した系統を作製した。以前、東京都の田無、東大和より採集したクワコの雌に、カイコのゲノム解析用系統のp50系統の雄を繰り返し交配し、カイコのW染色体をクワコのW染色体に置き換えた系統を作製した。また、中国の江蘇省の野外よりクワコを採集し、そのW染色体をカイコp50系統に導入した系統も作製した。これらのW染色体の一部分を分子生物学的に解析したところ、日本のクワコのW染色体は、明らかにカイコのW染色体とは異なっていた。これに対して驚いたことに、中国のクワコのW染色体は基本的に「カイコのW染色体」と同一であった。これは中国の野外に生息するクワコは、カイコのW染色体を保有していることを意味している。過去に人間の飼育していたカイコから野外のクワコにW染色体が広がって行ったと考えられる。また本年度はW染色体をさらに解析するためにフォスミドライブラリーを新たに作製した。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Identification and molecular characterization of a sex chromosome...2010

    • 著者名/発表者名
      T.Fujii, et al.
    • 雑誌名

      Genome 53

      ページ: 45-54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Non-susceptibility to Bombyx densovirus type 1, Nid-1 and nsd-1, affect...2010

    • 著者名/発表者名
      K.Kidokoro, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Invertebrate Pathology 103

      ページ: 79-81

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recent transposition of yabusame, a novel piggyBao-like transposable...2010

    • 著者名/発表者名
      T.Daimon, et al.
    • 雑誌名

      Genome (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular analysis of sex chromosome-linked mutants in the silkworm...2010

    • 著者名/発表者名
      T.Fujii, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Genetics (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Bombyx mandarin mutant exhibiting translucent larval skin is...2009

    • 著者名/発表者名
      T.Fujii, et al.
    • 雑誌名

      Genes and Genetic Systems 84

      ページ: 147-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Bombyx ovary-derived cell line endogenously expresses PIWI/PIWI...2009

    • 著者名/発表者名
      S.Kawaoka, et al.
    • 雑誌名

      RNA 15

      ページ: 1258-1264

    • 査読あり
  • [学会発表] カイコの伴性突然変異Vg(痕跡翅)に特異的なptpとapterousとの融合遺伝子2010

    • 著者名/発表者名
      藤井告・阿部広明・勝間進・嶋田透
    • 学会等名
      第54回日本応用動物昆虫学会大会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      2010-03-26
  • [学会発表] acj6 mutants of the silkworm Bombyx mori cannot discriminate mulberry...2009

    • 著者名/発表者名
      藤井告, et al.
    • 学会等名
      The Eighth International Workshop on MOLECULAR
    • 発表場所
      Creta, Greece
    • 年月日
      20090823-20090829
  • [学会発表] カイコの伴性突然変異spliとBtに認められる性フェロモン応答性の異常2009

    • 著者名/発表者名
      藤井告・藤井毅・阿部広明, ら
    • 学会等名
      日本蚕糸学会関東支部第60回学術講演会
    • 発表場所
      宇都宮大学
    • 年月日
      2009-11-06
  • [図書] Molecular Biology and Genetics of the Lepidoptera(Contemporary, Topics in...)2010

    • 著者名/発表者名
      Abe, H., Fujii, T.
    • 総ページ数
      362
    • 出版者
      CRC Press Taylor and Francis Group

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi